【初心者向け】広角レンズとはどんなレンズ?特徴と選び方のポイントを解説

子どもの成長に伴い、カメラでしっかりと写真を撮りたいと思う人は多くいます。しかし、通常のレンズでは広い風景や室内全体を収めるのは難しく、広角レンズの使用が必要です。この記事では、広角レンズの特徴や選び方、撮影テクニックについて詳しく解説します。
記事を読めば、広角レンズを使って子どもや家族の写真をより印象的に残せます。広角レンズを知り、カメラのある生活を楽しみましょう。
広角レンズとは35mm以下の焦点距離を持つレンズ
広角レンズは、35mm以下の焦点距離を持ち、広範囲の撮影が可能なレンズです。多くの被写体を写せるため、風景や建物の撮影に適しています。遠近感の強調ができますが、歪みの発生に注意が必要です。焦点距離により、標準的な広角レンズや超広角レンズ、魚眼レンズに分類されます。
広角レンズを適切に使用すると、ダイナミックで印象的な撮影ができます。
広角レンズの特徴

広角レンズの特徴は、以下のとおりです。
- 広い画角
- 被写界深度の深さ
- 遠近感の誇張
- 歪みの発生
広い画角
広角レンズの最大の特徴は、広い画角にあります。広い画角で撮影するメリットは、以下のとおりです。
- 空間の広さを強調できる
- 遠近感を強調しダイナミックな構図が作れる
- 室内や狭い場所でも全体を撮影できる
- 群衆や大勢の人物を一度に収められる
通常のレンズでは捉えきれない広い範囲を、1枚の写真に収められます。家族旅行時に、風景と家族全員の撮影が可能です。室内で子どもの様子を撮影するときに、狭い空間でも全体を捉えられます。広大な自然の景色や、高層ビルの全体像を迫力ある画像で表現することも可能です。
こちらの記事で、構図を活かした撮影テクニックを紹介しています。
被写界深度の深さ
被写界深度が深いと、ピントの合う範囲が広くなります。被写体の前後も鮮明に写り、近くから遠くまで全体的にシャープな画像が得られます。背景のボケが少なく、風景全体を捉えやすいのも特徴です。動きの速い子どもを撮影する場合でも、ピントを合わせやすくなります。
子どもと背景の両方をくっきりと写せるため、思い出の場所と一緒に子どもの姿を残せます。小絞りと組み合わせると、さらに深い被写界深度への設定が可能です。
遠近感の誇張

遠近感の誇張は、印象的な写真を作り出す効果があります。広角レンズは、近くの被写体が大きく、遠くの被写体が小さく写るため、被写体間の距離感が強調されます。子どもを近くに配置し、手や足を大きく写してみましょう。複数の被写体の距離感が強調され、躍動感のある写真が撮れます。
人物撮影では、体型が変形して見える可能性がある点に注意してください。子どもの自然な姿を残したい場合は、遠近感の誇張を控えるのがおすすめです。
歪みの発生
広角レンズを使用すると、画像に歪みが発生する場合があります。歪みの主な特徴は以下のとおりです。
- 画像の周辺部が樽型に歪む
- 人物の顔や体が不自然に伸びて見える
- 建物の直線が曲がって見える
歪みは画角の端に近づくほど強くなり、超広角レンズになるほど顕著になります。一部の歪みはソフトウェアを使って補正でき、歪みを意図的に活用する場合もあります。歪みを避けたい場合は、被写体を画面中央に配置しましょう。
広角レンズが向いているシチュエーション

広角レンズが向いているシチュエーションは、以下のとおりです。
- 風景の撮影
- 建築物や室内の撮影
- 星空の撮影
風景の撮影
広角レンズを使うと、広大な景色を1枚の写真に収められるため、子どもと一緒に訪れた思い出の場所を残せます。広角レンズの特徴を活かせば、遠近感を強調したダイナミックな構図の撮影が可能です。手前の被写体と背景のバランスが取りやすく、深い被写界深度で全体にピントを合わせられます。
壮大な風景を背景に子どもを前景に配置すると、印象的な写真になります。広角レンズは、空や雲、山並みなど広範囲を捉える撮影や、湖や海の反射を活かした対称的な構図におすすめです。水平線を強調した、開放感のある画像の撮影時にも向いています。季節感や時間帯の変化も広い範囲で捉えられます。
建築物や室内の撮影

広角レンズを建物や室内の撮影時に使用して得られる効果は、以下のとおりです。
- 狭い空間でも広く撮影
- 建築物の迫力や存在感を強調
- 独特の遠近感で空間を表現
- 幾何学的な線や形を活用
インテリアデザインの全体像も捉えやすくなります。天井や床など空間の構造を鮮明に示せるため、室内の雰囲気がより伝わります。広角レンズの歪みを上手く利用すると、建築物の特徴をさらに強調することも可能です。
星空の撮影

星空の撮影にも広角レンズがおすすめです。広い画角で星空全体を一度に捉えられるため、印象的な夜景写真を撮影できます。星空撮影のポイントは以下のとおりです。
- 大口径レンズ
- 三脚固定
- マニュアルフォーカス
- 高ISO感度
- RAW形式
光害の少ない場所を選び、月の満ち欠けや天候にも気をつけましょう。星座アプリなどで撮影対象を事前に確認しておくのが有効です。長時間露光を使えば、星の軌跡を捉えられます。
広角レンズの選び方

広角レンズを選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
- 焦点距離
- F値
- マウント
- センサーサイズ
- 手ブレ補正
- オートフォーカス機能
- サイズ
- 重量
焦点距離
焦点距離は、広角レンズを選ぶ際の重要な要素です。広角レンズは35mm以下の焦点距離を持ち、焦点距離が短いほど広い範囲の撮影ができます。一般的な広角レンズの焦点距離には、24mmや28mm、35mmがあります。撮影したい対象や場面に合わせて選びましょう。
子どもの遊ぶ姿を室内で撮影したい場合は、28mmや35mmが適しています。風景や建物全体を写したい場合は、24mmがおすすめです。焦点距離が短くなるほど被写界深度が深くなり、遠近感が強調された写真になります。焦点距離が極端に短い超広角レンズ(20mm以下)では、画像の歪みが目立つ場合があります。
子どもの写真を撮る際は、焦点距離の異なる複数のレンズを用意するのがおすすめです。ズームレンズを使えば、1本で広角から標準までカバーできます。
F値
F値は、レンズの明るさの指標です。F値が小さいほどレンズは明るくなり、暗い場所での撮影が可能です。子どもの写真を室内で撮ることが多い場合、F2.8以下のレンズを使いましょう。明るいレンズは、暗い場所での手持ち撮影や背景のボケを強調したいときに向いています。速いシャッタースピードも特徴です。
F値が小さいレンズは一般的に高価で、サイズも大きくなる傾向があります。F値が大きいレンズは、軽量でコンパクトなものが多く、持ち運びや長時間の撮影に適しています。子どもの写真を撮る際は、室内や薄暗い場所での撮影も多いため、明るいレンズがおすすめです。
マウント

マウントは、カメラボディとレンズを接続するための規格です。メーカーや機種によって異なるため、カメラを購入する際には互換性の確認が欠かせません。代表的なマウントは以下のとおりです。
- キヤノンEF
- ニコンF
- ソニーE
- フジフイルムX
最近では、ミラーレスカメラ用のマウントも増えています。異なるマウントのレンズを使いたい場合は、アダプターを使用しましょう。マウントの選び方次第で、将来のレンズ選びやカメラの拡張性が大きく変わります。
センサーサイズ

センサーサイズとは、カメラに搭載されているイメージセンサー(撮像素子)の大きさです。主なセンサーサイズには、フルサイズやAPS-C、マイクロフォーサーズなどがあります。サイズが大きいほど画質が良くなるのが一般的です。同じ焦点距離のレンズでも、センサーサイズによって画角が変わります。
フルサイズ用の広角レンズをAPS-Cカメラで使うと、より望遠側の画角になります。センサーサイズに合ったレンズを選ぶと、最適な画質が得られ、意図した画角での撮影が可能です。小さいセンサーサイズ向けのレンズは、一般的に小型軽量になります。
手ブレ補正
手ブレ補正は、子どもの写真を撮る際に役立つ機能です。動きの多い子どもを撮影する場合、手ブレを軽減するとシャープな画像を得られます。暗所や望遠時も安定した撮影が可能です。手ブレ補正には、光学式と電子式の2種類があります。光学式はレンズの中で補正を行い、電子式はカメラ本体で補正を行います。
高い効果が得られるのは一般的には光学式です。手ブレ補正を使うとバッテリーの消耗が早くなりますが、手ブレしてしまっては意味がないので私は常にONにしています。
オートフォーカス機能
オートフォーカス機能は、自動的に焦点を合わせる機能です。主な特徴は以下のとおりです。
- 動く被写体に追従するAFシステム
- 顔認識や瞳AFによる人物撮影の精度向上
- 静音AFモーターによる静かな動作
高速かつ正確な機能であるため、動き回る子どもの瞬間を逃しません。暗い場所でも機能するローライトAFや、タッチパネルでのAFポイント選択機能などもあります。複数のAFモードを使い分けると、さまざまな撮影シーンへの対応が可能です。
サイズ
広角レンズのサイズは、撮影の快適さや持ち運びやすさに大きく影響します。サイズ選びの注意点は、以下のとおりです。
- レンズの直径と長さ
- カメラバッグに収まるサイズ
- カメラボディとのバランス
コンパクトで携帯性の高いレンズがおすすめです。軽量なレンズは、長時間の撮影でも疲れにくくなります。旅行や日常使いに適しているかも考慮しましょう。使用目的に合わせたサイズを選択すれば、より快適な撮影が可能です。
重量
広角レンズの重量は、撮影の快適さや機動性に関係します。軽いレンズほど扱いやすく、長時間の撮影でも疲れにくいとされます。使用目的や携帯性、安定性を考えて選びましょう。旅行や街歩きでの撮影では、200〜500g程度の軽量レンズが便利です。
三脚を使用する風景撮影なら、1kg前後のレンズでも大きな負担はありません。高性能レンズは重くなりがちですが、近年の軽量化技術の進歩により、選べるモデルが増えています。撮影スタイルに合わせて、適切な重量のレンズを選択してください。
広角レンズの撮影テクニック

広角レンズを使った撮影テクニックのポイントは、以下のとおりです。
- パースペクティブを活かす
- 主題を強調する
- 歪みに注意する
パースペクティブを活かす
パースペクティブとは、遠近感(視覚効果)のことを指します。パースペクティブを活かす方法は、以下のとおりです。
- 前景を大きく撮影
- 低アングルから撮影
- 縦線を利用
- 広い空間を収める
- 距離感を強調
広角レンズならではの遠近感や空間の広がりを表現できます。子どもを低アングルから撮ると、子どもを大きく見せつつ、背景の広がりも同時に捉えられます。パースペクティブを活かすためには、構図にも注意が必要です。被写体の配置や画面の構成によって、写真の印象が大きく変わります。
主題を強調する

被写体を画面の前景に大きく配置すると、主題を強調できます。より効果的に主題を強調する方法は、以下のとおりです。
- 低アングルから撮影する
- 広角レンズの遠近感を利用する
- フレーミングで主題を中心に配置する
主題の周りの空間活用も重要です。背景との対比を強調したり、主題と背景のコントラストを強くしたりします。主題に向かう線や形を利用して、視線を誘導するのも効果的です。主題を際立たせる色や光の活用方法も考えましょう。主題の動きや表情を捉えると、心に残る印象的な写真を撮影できます。
歪みに注意する
広角レンズで撮影する際は、歪みに注意することが大切です。画面の端に近いほど歪みが強くなるため、人物を撮影する場合は中心に配置します。建物や直線的な被写体を撮影する際は、垂直・水平を意識しましょう。極端な広角レンズの使用は控え、適度な焦点距離を選んでください。
撮影後に編集ソフトで歪み補正を行う方法もあります。意図的に歪みを活用すると、独特の雰囲気を演出できます。子どもの表情を大きく捉えたいときなどにおすすめです。
まとめ

広角レンズは、35mm以下の焦点距離を持ち、広範囲の撮影が可能なレンズです。広い画角や深い被写界深度、遠近感の誇張といった特徴を活かして、臨場感あふれる写真を撮影できます。
風景や建築物、室内などの撮影に適している広角レンズは、子どもの写真撮影にも向いています。背景を含めた全体的な雰囲気を捉えれば、子どもの表情だけでなく、周囲の環境も合わせた記録が可能です。
広角レンズを選ぶ際は、焦点距離やF値、マウントなどの要素を考慮しましょう。撮影には、パースペクティブの活用や主題の強調、歪みへの注意など、いくつかのテクニックがあります。
広角レンズを取り入れれば、子どもの成長や日常の一瞬をより印象的に残せます。撮影の新しい楽しみ方を知り、カメラのある充実した生活を送りましょう。

伊とう
写真が好きなWebエンジニア|2児の父|モノクロ写真好き|シンプルなもの好き|α7IV、α7cⅡ、GRⅢ