【初心者向け】シャッタースピードの目安やシーン別の設定方法を徹底解説!

お子さんの成長を写真に残したいのにカメラの設定がわからず、うまく撮影できないと悩んでいませんか。初心者の方で難しく感じる要素の一つに、シャッタースピードの調整があります。
この記事では、子どもの写真撮影に適したシャッタースピードの基礎知識やシーン別の設定方法を詳しく解説します。記事を読めば、カメラ初心者でも子どもの可愛い瞬間をきれいに撮影できます。
シャッタースピードの基礎知識

シャッタースピードについて、知っておきたい基礎知識は以下のとおりです。
- シャッタースピードの役割
- シャッタースピードの表記方法と単位
シャッタースピードの役割
シャッタースピードは、露光時間の制御と被写体の動きの表現に大きく関わっています。シャッタースピードの役割は、カメラに光が入る時間の決定と写真の明るさの調整です。速いシャッタースピードでは短い時間だけ光を取り込み、遅いシャッタースピードでは長い時間光を取り込みます。
被写体の動きを表現するうえでも、シャッタースピードは重要です。速いシャッタースピードを使えば、動きのある被写体をくっきりと止めて撮影できます。遅いシャッタースピードを使えば、被写体の動きを流れるように表現できます。速いシャッタースピードは、手持ち撮影時のブレを最小限に抑えられるのが特徴です。
シャッタースピードの表記方法と単位
シャッタースピードの表記方法には「分数表記」や「整数表記」「小数点表記」があります。分数表記は「1/60秒」と表され、意味は1秒の60分の1です。分数表記は、速いシャッタースピードに使います。整数表記は「1秒」と表され、遅いシャッタースピードに使います。
小数点表記は「0.5秒」と表され、意味は2分の1秒です。長時間露光を表す「バルブ(B)」は、シャッターボタンを押している間だけ、シャッターが開いたままになります。秒数が長い場合、15秒を「15"」のように「"」記号で表すこともあります。
シャッタースピードの単位は「秒」です。カメラの表示画面では「S」や「SEC」と略される場合もあります。電子シャッターを搭載したカメラでは「1/32,000秒」などの高速なシャッタースピードを設定することができます。
シャッタースピードの違いによる影響

シャッタースピードは、撮影シーンや被写体の動きに応じて適切に選択しましょう。子どもを撮る際も、状況に応じてシャッタースピードを使い分けると良い写真が撮れます。以下のシャッタースピードの違いによる影響を解説します。
- 速いシャッタースピードの特徴
- 遅いシャッタースピードの特徴
速いシャッタースピードの特徴

速いシャッタースピードのメリットは、以下のとおりです。
- 動きを止めて鮮明に撮影できる
- 瞬間的な表情や動作を捉えやすい
スポーツをする子どもの躍動感あふれる姿を鮮明に撮影できます。水しぶきや飛び跳ねる様子など、一瞬の動きも細かく捉えられるので、ダイナミックな写真が撮れます。
また、子どもの笑顔を逃さず撮影できるのは、速いシャッタースピードです。子どもが一瞬でも動いたとしても、動きがブレずに静止したように撮影できます。
遅いシャッタースピードの特徴

遅いシャッタースピードでは、動きのある被写体がブレて表現されるので、独特の雰囲気を出せます。光の軌跡や流れの表現、暗い場所での撮影が可能です。幻想的な雰囲気を演出でき、水面や滝の流れを滑らかに表現できます。
手ブレのリスクが高いので、三脚やスタビライザーが必要な場合が多く、適切な露出設定が重要です。遅いシャッタースピードを使うとブレが大きくなるため、ピントを合わせるのが難しくなります。走り回る子どもの軌跡を表現したり、公園の遊具で遊ぶ様子を幻想的に捉えたりするには最適です。
シャッタースピードの目安
以下の目的に合わせたシャッタースピードの目安を解説します。
- 手ブレを抑えるための目安
- 動きのある被写体を撮るときの目安
手ブレを抑えるための目安
手ブレを抑えるには、焦点距離の逆数を基準にするのが一般的です。50mmレンズを使用する場合は、1/50秒以上のシャッタースピードをおすすめします。高感度設定を活用すれば、暗い場所でも速いシャッタースピードで撮影できます。
動きのある被写体を撮るときの目安
一般的な目安として、以下のシャッタースピードが効果的です。
- 歩行者:1/125〜1/250秒
- ジョギング:1/250〜1/500秒
- 自転車:1/500〜1/1,000秒
- 自動車:1/1,000〜1/2,000秒
- スポーツ全般:1/500〜1/2,000秒
- 子どもやペットの動き:1/250〜1/500秒程
- 鳥の飛翔:1/1,000〜1/2,000秒
- 水しぶき:1/1,000〜1/4,000秒
動きの速い被写体ほど、速いシャッタースピードが必要です。被写体の動きを表現したい場合は、あえて遅めのシャッタースピードを選ぶ場合もあります。走っている子どもの足だけをブレさせて躍動感を出すなど、創造的な表現が可能です。
【シーン別】シャッタースピードの目安
以下のシーン別にシャッタースピードの目安を解説します。
- スポーツ撮影
- ポートレート
- 夜景撮影
- 野鳥撮影
- 星空撮影
- 滝や流れる水
- 流し撮り光の軌跡(光跡)動画撮影
スポーツ撮影
スポーツ撮影では、高速シャッターを使用します。動きの速い被写体をブレずに撮影できるのは、1/500秒以上の速いシャッタースピードです。
被写体の動きに合わせてシャッタースピードを調整し、動きの速いスポーツでは1/1,000秒以上を使います。ピンぼけを防ぐためAFモードを連続AFに設定しましょう。スポーツの種類や動きの特性によって、適切なシャッタースピードは変わります。被写体の動きをよく観察し、予測しながら撮影しましょう。
バックグラウンドをぼかしたい場合は、開放絞りを使うのがおすすめです。決定的瞬間を捉えるには、スポーツの特性や動きのパターンを理解し、タイミングの見極めが重要です。練習を重ねれば、よりダイナミックな写真が撮れます。
ポートレート
ポートレート撮影では、1/125秒前後のシャッタースピードがおすすめです。自然な表情を捉えるのに適しています。子どもの写真を撮る場合、動きが多いので1/250秒以上のシャッタースピードを選びましょう。子どもの瞬間的な表情や動きをしっかりと捉えられます。
屋内や暗い場所での撮影では、1/60秒程度まで落とせますが、手ブレに注意が必要です。ブレを防ぐには、レンズの焦点距離の逆数を目安にしましょう。背景をぼかしたい場合は、絞りを開放(=F値を一番小さくする)にしてシャッタースピードを調整すれば、被写体が引き立ちます。フラッシュを使用する場合は、カメラの同調速度に注意してください。
» 魅力を引き出す!ポートレート撮影の基本設定とシーン別の撮り方
夜景撮影
綺麗な夜景写真を撮るために適しているのは、長時間露光です。ノイズを抑えたり、被写界深度を確保したりするために、以下の点に注意しましょう。
- 三脚を使用する
- シャッタースピードを数秒から数十秒に設定する
- 低ISO感度を選ぶ
- 絞りは中程度(f/8-f/11)にする
- マニュアルフォーカスを活用する
- リモートシャッターを利用する
- セルフタイマーを設定する
- RAW形式で撮影する
野鳥撮影

野鳥撮影では、1/1,000秒以上の高速シャッターを使うと、鳥のすばやい動きをシャープに捉えられます。以下のテクニックを活用すると効果的です。
- 300mm以上の望遠レンズ
- 連続AFモード
- SO感度800-3200
- 連写モード
野鳥は予測不能な動きをするので、カメラの設定を事前に調整しておくのが重要です。早朝や夕方の柔らかい光を活用すると、美しい仕上がりになります。三脚やモノポッドを使うと手ブレを防げるので、シャープな写真が撮れます。鳥の目にピントを合わせると、生き生きとした表情を捉えられるため、おすすめです。
星空撮影
星空撮影には、長時間露光が必要不可欠です。15秒から30秒程度のシャッタースピードを使用しましょう。広角レンズ(14〜24mm程度)を使用し、絞り値を開放に近い設定(F2.8からF4)にします。ISO感度を高めに設定(1,600〜6,400)し、マニュアルフォーカスで無限遠に合わせます。
カメラのブレを防ぐためには、三脚の使用が欠かせません。リモートシャッターやセルフタイマーを活用すると、さらにブレを軽減できます。撮影後の処理も重要です。RAW形式で撮影し、後処理で明るさやコントラストを調整すると、より美しい星空写真に仕上がります。
» 広角レンズとは?子どもの成長をしっかり収める撮影テクニック
滝や流れる水
1/15秒から1/2秒程度の遅いシャッタースピードを使うと、水の動きをシルクのように滑らかに写せます。三脚を使ってカメラをしっかり固定し、NDフィルターで光の量を調整しましょう。絞り値を絞り込んで周囲の風景もくっきり写し、露出補正を+側に設定して水の白さを強調します。
朝や夕方の柔らかい光の時間帯が理想的です。構図に岩や木を入れると、静と動のコントラストが生まれ、より印象的な写真になります。長時間露光では、白飛びしないよう注意しましょう。リモートシャッターやセルフタイマーを使えば、シャッターを押す際のブレを防げます。
» 思い出の瞬間を魅力的に!写真の構図の重要性と活用テクニック
流し撮り
流し撮りは、動きのある被写体を印象的に捉えられる技法です。背景がブレると被写体が強調され、動きを感じられる写真になります。通常は1/15秒から1/30秒程度を使用しますが、被写体の速度や動きに応じて調整しましょう。
流し撮りは練習と経験が必要な技法ですが、子どもの動きのある姿を印象的に残せます。運動会やスポーツ大会など、動きのあるシーンにおすすめです。
光の軌跡(光跡)
光源の動きに応じて、露光時間を数秒から数分まで調整できます。光跡撮影の基本的な手順は以下のとおりです。
- シャッタースピードを1秒以上の低速に設定する
- 三脚を使ってカメラを固定する
- リモートシャッターを使用して手ブレを防止する
- カメラのバルブモードを活用する
動画撮影
動画撮影では、手ブレを防ぐために1/focal length秒以上のシャッタースピードの使用がおすすめです。50mmレンズを使用する場合は、1/50秒以上のシャッタースピードを選びましょう。1/30〜1/60秒程度が適切ですが、被写体の動きの速さによって調整します。
動画のフレームレートに合わせたシャッタースピードの設定も大切です。一般的なフレームレートは以下のとおりです。
- 24fps
- 30fps
- 60fps
フレームレートに合わせて、180度シャッター角を意識しましょう。24fpsで撮影する場合は1/48秒のシャッタースピードを使用します。動きのブレ具合で印象が変わるため、意図的な調整もできます。暗い所では遅めのシャッタースピードで撮影して、明るさを確保しましょう。
NDフィルターを使用すれば、屋外でも遅いシャッタースピードで撮影できます。動きを強調したい場合は遅めに、動きを止めたように見せたい場合は速めにシャッタースピードを設定します。
シャッタースピードの調整テクニック
シャッタースピードを調整するテクニックは以下のとおりです。
- ISO感度の設定を変える
- 絞り値とのバランスをとる
- 三脚を活用する
- フラッシュを使う
ISO感度の設定を変える
ISO感度を上げると、カメラの光に対する感度が高くなり、シャッタースピードを速くできます。ISO感度を下げると、シャッタースピードを遅くできます。高いISO感度は、暗い場所での撮影に有効です。上げすぎるとノイズが目立つので注意しましょう。低いISO感度では、ノイズが少なく画質の良い写真が撮れます。
子どもの写真を撮る際は、以下のISO感度の設定がおすすめです。
- 屋外の明るい場所ではISO100〜400
- 室内や薄暗い場所ではISO800〜1600
- 動きの速い子どもを撮る場合はISO1600〜3200
オートISOを活用すると、カメラが自動的に適切なISO感度を選んでくれるので便利です。シーンに応じてISO感度の上限を設定しておくと、より安心して撮影できます。
絞り値とのバランスをとる
絞り値を開くとシャッタースピードを速く、絞り値を絞るとシャッタースピードを遅くできます。適正露出を保ちながら、被写界深度やモーションブラーをコントロールするためにバランスをとりましょう。シーンや撮影意図に応じてバランスをとるには、露出補正機能の活用も有効です。
三脚を活用する
三脚を使用すると、カメラが安定するので手ブレせず、遅いシャッタースピードでの撮影が可能です。長時間露光で夜景や星空を撮影したり、自分も写真に写ったりできます。子どもの動きが少ない場面での撮影にも効果的です。
三脚を使う際は、カメラの重さや風の影響を考慮しましょう。リモートシャッターと組み合わせれば、カメラに触れずに撮影でき、さらに振動を抑えられます。よりシャープな写真を撮影できます。
フラッシュを使う
フラッシュを使うメリットは、暗い場所でも被写体を明るく照らせる点や、速いシャッタースピードで撮影できる点です。動きのある被写体をブレずに撮影できたり、背景をぼかしつつ被写体を明るく撮影できたりします。子どもの動きが速くてブレやすい場合にも有効です。
フラッシュの光量が強すぎると不自然な仕上がりになってしまう場合があります。カメラの設定で光量を調整したり、バウンスフラッシュ技法を使って柔らかな光を演出したりしましょう。フラッシュを使うと目が赤く写る「赤目現象」が起きる場合もあります。赤目軽減機能付きのフラッシュを使用するのが効果的です。
まとめ
子どもの表情や動きを美しく捉えるには、被写体や撮影シーンに合わせたシャッタースピードの選択が大切です。ISO感度や絞り値、三脚、フラッシュを上手に活用すれば、シャッタースピードを調整できます。
テクニックを使いこなすと、より魅力的な子どもの写真を撮影できます。練習を重ねながら最適な設定を見つけ、思い出に残る一枚を撮影しましょう。

伊とう
写真が好きなWebエンジニア|2児の父|モノクロ写真好き|シンプルなもの好き|α7IV、α7cⅡ、GRⅢ